糖尿病性腎症のドミノストッパーとなる可能性について

いつもご覧頂きまして、ありがとうございます。

10月に入り、グッと秋を感じる清々しい日々が多くなりました。

緊急事態宣言も解除され、徐々にいろいろなところが動き始めています。

とは言え、まだまだ余談の許さない状況下であるとは思います。

特に糖尿病や腎臓に疾患を抱えておられる方は、今回の新型コロナウィルスの重症化リスクを考えると、とても心配になられるかも知れません。

そこで、今回、引用させて頂いた論文が少し難解な表現が多く見受けられ、大変読み辛いかも知れませんが、何かの参考になればと思いブログにさせていただきましたので、よろしければ、ご一読下さい。

この引用させて頂いた論文は、今年の4月21日に慶應義塾大学が、米国腎臓病学会誌に掲載された内容となります。

これは、本研究グループは基礎実験の成果で、ニコチン酸モノヌクレオチド(NMN)という物質の投与方法を工夫することで、この糖尿病性腎症ドミノの遮断機、つまりストッパーとなりうる画期的治療法を発見したと言われています。

まず、細胞機能を安定化させ若々しさを保つことが知られているNMNという抗加齢分子が、糖尿病性腎症で低下していることを見出しました。

このNMN は、腎臓ではこれまで尿の通り道という概念で捉えられていた尿細管で主に産生されており、その産生が減ると、糸球体の「濾過器」を構成する足細胞という細胞の機能にも異常が波及します。

さらに、細胞を若々しく保つ酵素サーチュイン1が低下することで、本来は発現していない異常蛋白の一つの発現が上昇してきます。

このような経過を経て、最終的には「濾過器」が障害され蛋白尿が出現するという一連の病気の流れを解明したとのことです。

そして、尿細管の細胞から糸球体足細胞へのNMNを仲立ちにした対話が途絶えてしまうことが、糖尿病の極めて早い段階で生じ、糖尿病性腎症発症に関与しているとのことです。

このことから、糖尿病性腎症発症にかなりの比重を持ってNMNが関与していることが理解できます。

そして、マウスによる実験結果です。

マウスにNMNを2週間投与し、その後中止しても、驚くべきことに24週令の解析でアルブミン尿(一種のタンパク質尿)の抑止が継続していました。

すなわち、NMNの短期投与が、投薬中止後もずっと良い効果を及ぼし続け、病気の進行を長期的に抑えることを可能にする、画期的な治療手段への手がかりを見出したと言われています。

ちなみにサーチュイン1とは、哺乳類には7種類のサーチュイン(Sirt1-7)が知られている内の一つですが、それぞれ標的タンパク質が違いますが、NMN投与でNADが増加すれば、複数のサーチュインが影響を受ける可能性があります。

こちらの研究グループは、サーチュイン1の腎臓での重要性をこれまで明らかにしてきました。

サーチュインはNAD依存性、つまりNADを材料にし、タンパク質の脱アセチル化を促進する酵素です。

脱アセチル化された標的タンパク質の機能が高まって、生体にとって好都合な変化を起こすといわれています。


たとえば、抗酸化、抗炎症、エネルギー代謝を効率化させる蛋白の機能を高めて、若返りを実現できる可能性のある酵素として注目されています。

NMNは元々若返りが可能であるということで、とても話題になっている物質です。

しかし、それだけではなく、今私たちが抱えている疾病の対処にも、これから大きな可能性を秘めているのではと感じております。

人生100年時代と言われる昨今ですが、健康体で楽しく過ごしていくことが、これからの人生の課題の一つではないかと思います。

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